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【金沢赤十字病院】広報誌 かなざわ日赤ニュース Vol.5紹介ページです。

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かなざわ日赤ニュース Vol.5(平成16年5月発行)

「動脈硬化と血管内皮細胞」

心臓病や脳卒中は動脈硬化が原因

 狭心症や心筋梗塞、脳卒中の多くは心臓の筋肉(心筋)や脳へ酸素やエネルギー(糖分)を供給している血管の狭窄や閉塞で起こります。動脈に狭窄があると、心臓や脳は酸素不足・エネルギー不足になり、その動きが低下します。血管が閉塞して完全に血液の流れが遮断されると、一般に脳は数分で、心筋は2〜4時間で細胞が死滅(壊死)するといわれています。


動脈硬化は血管内皮から

 では、血管の狭窄や閉塞はなぜ起きるのでしょうか? その多くは血管の動脈硬化を基にして発症します。動脈硬化は図1のような多くの因子が長年にわたり積み重なった結果として起きてきます。危険因子のうち、加齢、心臓病・脳卒中の家族歴、男性、閉経(女性の場合)は残念ながら自分では避けられない危険因子です。一方、喫煙、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症は、生活習慣の改善と適切な薬物療法で解決ないし是正が可能な危険因子です。年齢を重ねるにつれ動脈硬化は進行します。加えて危険因子が放置されていると実際の年齢よりも早く動脈硬化が進行することになります。
 少し専門的な話になりますが、血管の内側は血管内皮細胞という薄い1層の膜のような細胞で覆われています。この内皮細胞には2つの働きがあります。1つは「血液と血管壁が接触して血液が固まる」ことを防ぐバリアーとしての働き(抗血栓作用)です。もう一つは血管を拡張させる物質を産生して血液の流れを調節する働き(血流調節作用)です。動脈硬化はまずこの血管内皮が傷害されるところから始まります。傷ついた血管の内側には、傷を修復しようとしていろいろな細胞が集まります。場合によっては血の固まり(血栓)もできるでしょう。すり傷を思い出してみて下さい。案外よく似た現象が血管の中に起きているのかも知れません。血管壁に付着した悪玉コレステロールはマクロファージという細胞に食べられますが、泡沫細胞として血管壁に残り、動脈硬化の基ができあがります。


血管内皮の働きを活発にするには

 心臓病・脳卒中を予防するには、「動脈硬化の進展を抑える」ことが不可欠です。そのためには「血管内皮の働きをよくする」ことが肝要です。最近では、ある種の高血圧治療薬や高脂血症治療薬が、薬本来の血圧低下作用、コレステロール低下作用の他に、血管内皮の働きを改善することが明らかにされ、たくさんの患者さんで使用されています。
 では、薬以外で何かいい方法はないのでしょうか?
 その前に身近な血管内皮の血流調節作用を紹介しておきましょう。まず、ご自分で手首を強く握ってみて下さい。しばらく頑張って握っていると指先がしびれたり、冷たく感じるようになります。そこで一気に握っていた手を離します。手が一気に元の暖かさに戻るのがお判り頂けるでしょうか?まず、手首を強く握ることで動脈が圧迫され、一時的に手の血流が低下します。手を離すことで動脈の圧迫が解除され、手の血流は再開します。この時手の血流量は元の何倍も増加します。このような反応を「反応性充血」と呼びますが、内皮細胞から血管拡張性物質が分泌されて血流が増加します。このような反応を測定することで血管内皮の働きを知ることができます。
 図2は高血圧の患者さんに運動療法を行った時の血管内皮機能を薬剤を使って調べたものです。普通運動する習慣のなかった高血圧の患者さんに対して、1日30分の歩行を週に5〜7回、3か月間行っています。図左のように3か月後には薬剤を投与した際の血流増加が大きくなっており、血管内皮の働きがよくなっていると考えられます。一方、図右のように運動を行わなかった患者さんでは血流増加反応には変化がみられません。ほんの少しの運動を取り入れることで血管内皮の働きを改善することが可能と考えられます。


運動のすすめ

 では先ほどの運動の内容をみてみましょう。この調査では「最大酸素消費量の50%程度の歩行」を1日30分、週に5〜7回、3か月間続けたと記されています。これをわかりやすく表現すると「心拍数で毎分100〜110くらいの運動」ということになります。「少し息がはずむが、会話ができるくらい」の強さの運動です。日常会話にほんの少し「歩く」という行為を意識すれば、血管内皮の働きを改善することができると言えます。皆さんも明日から少し足早で歩いてみませんか?自転車通勤もお勧めです!
 最後に、図3に運動を行うにあたっての目安を紹介しておきます。心臓病や高血圧で治療中の方は、主治医に相談することもお忘れなく!



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