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【金沢赤十字病院】広報誌 かなざわ日赤ニュース Vol.4紹介ページです。

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かなざわ日赤ニュース Vol.4(平成15年11月発行)

「腹腔鏡下手術」(ふっくうきょうかしゅじゅつ)

切らない手術

 腹腔鏡下手術が切らない手術というのは言い過ぎかもしれません。しかし、皆さんが思い描かれる手術のイメージとはかなり異なっています。
 今までの婦人科手術では、お腹を大きく開腹していましたが(10〜12センチ)、この新しい腹腔鏡下手術では2センチの小さな穴をおへその近くに開けて手術を行ないます。その小さな穴より細い管(トロッカー)を腹壁に通し、炭酸ガスを入れて観察を始めます。【図(1)】

 その後、さらに小さな1センチの穴2〜3ヶ所より腹腔鏡(カメラ)や処置器具をトロッカーに通して手術を進めます。【図(2)】
 その後は、テレビモニターでお腹の中を観察しながら、手術をし患部を切除していきます。摘出物は同じ小さな穴から回収し終了します。


時代の流れ

 婦人科手術では、傷はなるだけ作らない、止むを得ず傷が出来る場合はできる限り小さくし、なるだけ目立たないようにして参りました。
 子宮全摘出術では、適応があれば腹式よりも膣式を、開腹の場合は縦切開よりは横切開を選んできました。特に良性卵巣嚢腫では、袋の中身を吸い出せばほとんど袋の皮の部分しか残らないという疾患も少なくありません。つまり、もっと傷は小さく出来るのです。
 ここ最近は手術という治療法において、“Minimal invasive surgery”という考え方が出てきています。これはなるだけ患者さんの負担が少なくなるように“侵襲は最小限にする手術”という意味です。まさに、腹腔鏡下手術はこの代表と言えます。入院期間も従来の開腹術に比べ、術後は1週間以内で退院です。


私と腹腔鏡下手術との出会い

 昭和63年大学病院研修医時代にお腹の中を直接見る事が出来る検査“腹腔鏡検査”に感動した覚えがあります。しかし、当時の器械は手術するなんてものではありませんでした。その後は大学院での研究生活に入り、悪性腫瘍と新生児という全く異なる領域で仕事をしておりました。
 日本では、初めて平成4年外科領域で胆嚢摘出術が保険適応になりました。その後、婦人科領域でも平成6年に子宮内膜症、卵巣腫瘍、子宮外妊娠が保険適応となりました。
 私はその頃北海道の函館におりましたが、同年に発足した婦人科内視鏡研究会(後に、日本産婦人科内視鏡学会)に当初より所属し、北海道婦人科内視鏡研究会にもすぐさま入会し、国内2ヶ所(福島県須賀川市、静岡県富士宮市)にあるトレーニングセンターへも研修に飛んで行きました。その時既に年間200件以上もの腹腔鏡下手術を行なっている施設があると聞き、平成7年9月6日から宝塚市民病院産婦人科の伊熊健一郎先生のご指導を仰ぐことになりました。


当科での歩み

 平成8年8月5日涼しい函館より、その日温度差12度あった真夏の金沢に帰って参りまして、当科では9月より開始しました。ここ最近5年間では腹腔鏡下手術は181例施行しています。卵巣腫瘍における腹腔鏡下手術の占める割合は平成11年に61%、同14年には90%となっています。
 術中に開腹術に変更になったのは、子宮内膜症で重度の癒着があった3例(1.7%)でした。


対象疾患

 全ての婦人科疾患を腹腔鏡下手術で対応できるわけではありません。手術前検査で悪性腫瘍が強く疑われる場合は行われません。
 子宮及び卵巣・卵管の良性疾患が対象となります。特に、良性付属品腫瘍(卵巣・卵管)ではほとんど全例適応になります。また、子宮外妊娠や卵巣出血といった緊急時でも状況が整える限り施行しています。
 不妊症の原因として増加傾向にある子宮内膜症にも適応があり、すでにこの手術の後赤ちゃんをその手に抱っこした方は8人にもなりました。


腹腔鏡下手術のメリット・デメリット

メリットとしては
(1)少ない手術侵襲:術後疼痛の軽減、早期離床、早期退院
(2)医療費削減:入院短縮、早期社会復帰
(3)優れた美容性:女性にとっては重要
デメリットとしては
(1)限定される症例:良性疾患
(2)高度なテクニック:トレーニングが必要
(3)合併症の可能性:開腹術への移行
 どんな治療にもメリット・デメリットがあります。しかし、今後は腹腔鏡下手術のメリットを生かすならば、皆さんにとっても私たちにとっても治療の選択の幅が広がり、非常に有益な治療法として発展していくものと思われます。
当科では適応があれば、積極的に腹腔鏡下手術を進めており、ご相談や質問等ありましたら、お気軽にお尋ねください。


よくあるご質問
問1. 手術後の痛みが少ないと聞いたのですが?
答1. お腹を大きく切らないので、開腹術と比べて痛みが僅かです。
しかし、炭酸ガスがお腹の中に入るので4日間ほどお腹が張る感じや肩の痛みがある場合があります。
問2. どのような麻酔で行なうのですか?
答2. 原則として全身麻酔で行ないますので寝ているうちに終わってしまいます。
問3. すべての手術に腹腔鏡下手術が適応されるのですか?
答3. そうとは限りません。強い癒着が予想される場合や悪性の疑いがある場合はこの腹腔鏡下手術はお勧めできません。
問4. 腹腔鏡下手術の途中で開腹術に変更されることもあるのですか?
答4. あり得ます。予想以上に癒着が強い場合、悪性腫瘍と判断した場合、または術中に出血が増えコントロールができなくなるような時は開腹術に変更することがあります。
問5. 健康保険は適応されるのですか?
答5. 適応されますので、ご安心下さい。


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